「身の丈に合った暮らし」とは、ただ収入に合わせて生活を小さくし、我慢することではありません。

お金や時間、体力を無理に使い続けなくても、自分が大切にしたいものを選びながら、無理なく続けられる暮らしのことだと私は思います。
もっと頑張らなければ。もっと稼がなければ。周りと同じくらいの生活をしなければ。そんなふうに考えているうちに、いつの間にか自分にとって何が本当に必要なのか分からなくなってしまうこともあります。
でも、身の丈に合わせることは、人生を諦めることではありません。この記事では、「自分にとっての身の丈とは何か?」を考えながら、他人の物差しに振り回されず、自分にとっての「ちょうどいい暮らし」を見つけるヒントをお伝えします。
身の丈暮らしとは「無理なく続けられる生活」を選ぶこと

身の丈とは「収入に合わせること」だけではない
「身の丈に合った暮らし」と聞くと、収入に見合った生活をすることや、無駄遣いをせず節約することをイメージするかもしれません。もちろん、お金の範囲を超えて生活を続ければ、暮らしを維持していくことは難しくなります。

ただ、私は身の丈を収入だけで決めるものではないと思っています。
同じ収入でも、自由な時間を大切にしたい人もいれば、趣味にお金を使いたい人もいます。少しでも良い生活を維持するために働き続けることが苦にならない人もいれば、それより少し収入が減っても、ゆっくり過ごす時間を選びたい人もいるでしょう。
だからこそ、「みんなと同じくらい」ではなく、自分に合っているかを考えることが大切です。
自分にとって無理なく維持できる範囲が「身の丈」になる
私にとって身の丈に合った暮らしとは、今の収入で払えるかどうかだけではありません。
その暮らしを続けるために、時間や体力、気力まで無理に使い続けていないか。何かを手に入れるために、本当に大切なものまで犠牲にしていないか。そんなことも含めて考えています。
少し背伸びをすることが悪いわけではありません。ただ、背伸びした状態が当たり前になり、ずっと頑張り続けなければ維持できない暮らしになっているなら、一度立ち止まって考えてもいいのかもしれません。

自分が無理なく続けられ、大切にしたいものも大切にできる。その範囲こそが、自分にとっての「身の丈」なのだと思います。
次は、その「自分の身の丈」を具体的にどう考えればいいのかを、4つの物差しから見ていきます。
自分にとっての「身の丈」とは?4つの物差しで考えてみる
「身の丈に合った暮らし」と言われても、自分の場合はどこで判断すればいいのか、迷うかもしれません。
年収がいくらなら身の丈に合っているのか。家や車にいくらまで使えばいいのか。人によって状況が違う以上、誰にでも当てはまる基準を決めるのは難しいでしょう。
なので私は、身の丈をひとつの数字で測るのではなく、お金・時間・体力や気力・本当に大切にしたいものという4つの物差しで考えてみるのがいいと思っています。
お金|払えるかではなく、無理なく続けられるか
身の丈を考えるうえで、やはりお金は外せません。
ただ、「今なら払える」というだけで決めてしまうと、少し危ういこともあります。
たとえば、毎月の住宅ローンや家賃、車の維持費などは、今の収入で払えていたとしても、そのために貯金がほとんどできなかったり、急な出費があるたびに不安になったりするなら、本当に無理のない暮らしとは言えないかもしれません。

大切なのは、限界まで使えるかではなく、払ったあとにも余白が残るかだと思います。
少し余裕を残せることで、予想外の出来事にも対応しやすくなりますし、「もっと稼がなければ」という焦りにも追われにくくなります。
時間|その暮らしのために働きすぎていないか
お金の面では問題がなくても、その暮らしを維持するために働きすぎていることがあります。
生活水準を上げれば、それを支える収入が必要になります。すると残業を増やしたり、休日も副業をしたりして、自由な時間を削ることになるかもしれません。
もちろん、仕事が好きで、その働き方を自分で選んでいるなら問題ありません。
でも、本当はもっとゆっくりしたいのに、「今の生活を維持するためだから」と働き続けているなら、一度考えてみる価値はあると思います。
お金は払えていても、時間まで使い果たしているなら、それは自分の身の丈に合った暮らしなのか?
そんな視点も必要ではないでしょうか。
体力・気力|頑張り続けなければ維持できない暮らしになっていないか
今は何とかできていることでも、ずっと続けられるとは限りません。
若い頃なら無理な残業や休日出勤も乗り切れたかもしれませんが、年齢を重ねれば、同じように働き続けることが負担になることもあります。

だから身の丈を考える時は、「今できるか」だけでなく、これからも無理なく続けられるかを見ることも大切です。
毎日ギリギリまで頑張らなければ維持できない生活は、少しの変化で崩れてしまいます。
仕事で疲れ切って、休日は何もする気になれない。家に帰っても余裕がなく、大切な人との時間まで楽しめない。そんな状態が続いているなら、生活そのものが自分の体力や気力に対して大きすぎるのかもしれません。
本当に大切なもの|自分は何のためにお金と時間を使いたいのか
最後に考えたいのが、自分は何を大切にして暮らしたいのかということです。
同じ収入でも、何にお金を使いたいかは人によって違います。
大きな家に住むことが幸せな人もいれば、住まいはほどほどでいいから趣味を楽しみたい人もいます。車にこだわる人もいれば、その分、旅行や家族との時間に使いたい人もいるでしょう。
だから、他人と同じ生活を基準にする必要はありません。

身の丈とは、ただ「削るための基準」ではなく、自分にとって本当に必要なものを残すための基準でもあると思います。
すべてを手に入れようとすれば、どうしても無理が生まれます。でも、自分にとって何があれば十分なのかが分かれば、手放してもいいものも見えてきます。
自分の身の丈を知るとは、自分の可能性を狭めることではありません。お金、時間、体力を何に使えば、自分らしく無理なく暮らせるのかを考えることなのだと思います。
私たちが暮らしの満足度を考えるとき、所得や収入だけでなく、住生活やレジャー・余暇生活、時間のゆとりなど、さまざまな要素が関係しています。
身の丈暮らしは、妥協や諦めではない

「身の丈に合った暮らし」と聞くと、少しネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。もっと稼げるようになることを諦める。欲しいものを我慢する。今以上の生活は望まない。
そんなふうに、身の丈に合わせることを「妥協」や「諦め」のように感じることもあるでしょう。
でも私は、身の丈に合った暮らしを選ぶことは、人生を小さくすることではないと思っています。むしろ、自分にとって本当に必要なものを見つけるために、必要のない「もっと」を手放すことなのかもしれません。
「もっと」を追い続けることだけが豊かさではない

もっと収入があれば。もっと大きな家に住めれば。もっといい車を持ちたい。
もちろん、向上したいと思うことは悪いことではありません。目標を持って努力することで、手に入るものもあるでしょう。
ただ、「もっと」を追いかけることに終わりはありません。
ひとつ手に入れても、周りを見ればさらに上がいます。収入が増えれば生活水準も上がり、また次の「もっと」が欲しくなることもあります。
だからこそ、ときには「これ以上、本当に必要だろうか?」と立ち止まることも大切です。
豊かさとは、たくさん持つことだけで決まるものではないと思います。
「足るを知る」とは、自分にとっての十分を見つけること
「足るを知る」という言葉があります。
私はこれを、今あるものだけで我慢することだとは思っていません。

大切なのは、自分にとって何があれば十分なのかを知ることではないでしょうか。
たとえば、もっと広い家が欲しいと思っていても、本当に欲しかったのは家そのものではなく、家族とゆっくり過ごせる時間だったのかもしれません。
もっと収入が欲しいと思っていても、本当に必要だったのは、毎月少しだけ趣味を楽しめる余裕だったということもあるでしょう。
自分にとっての「十分」が分かれば、終わりのない競争から少し距離を置くことができます。
欲しいものまで諦める必要はない
身の丈に合った暮らしは、「欲しいものを全部諦める暮らし」ではありません。
大切なのは、何もかも手に入れようとして無理をするのではなく、自分が本当に欲しいものを選ぶことだと思います。
人から良く見られるためのものや、周りに合わせるための出費を減らして、その分を自分が大切にしたいことへ使う。
それなら、暮らしを小さくしたとしても、人生まで小さくなるわけではありません。
むしろ、必要のないものを手放すことで、本当に欲しいものを選びやすくなる。
身の丈に合った暮らしとは、夢や欲望を諦めることではなく、自分にとって必要のない競争から降りること。私は、そんなふうに考えています。
他人の物差しで、自分の身の丈を決めない

自分にとっての身の丈が分からなくなる理由のひとつは、知らないうちに他人の基準で自分の暮らしを測ってしまうことだと思います。

「あの人と同じくらい稼ぎたい」

「同世代なら、このくらいの暮らしをするのが普通だ」
そんな基準を追いかけていると、自分にとって本当に必要なものが見えにくくなってしまいます。
もちろん、周りの暮らしを参考にすることが悪いわけではありません。ただ、それがいつの間にか「自分もそうしなければならない」に変わると、無理をしてでも他人に合わせようとしてしまいます。
「普通はこう」という基準が、自分を苦しくすることもある
40代になれば、このくらい稼いでいるべき。家族がいるなら、これくらいの家が必要。子どもには、これくらいしてあげるべき。
世の中には、たくさんの「普通」があります。
でも、その普通は本当に自分にも必要でしょうか。
家族構成も、収入も、仕事への考え方も、人によって違います。それなのに「みんながそうしているから」という理由だけで同じものを求めれば、当然どこかで無理が生まれます。
誰かにとってのちょうどいい暮らしが、自分にとってもちょうどいいとは限らないのです。
周りと比べるほど、自分の「ちょうどいい」は見えなくなる

特に今は、他人の暮らしが簡単に目に入ります。
SNSを見れば、楽しそうな旅行や、きれいな家、欲しかったものを手に入れた人の姿が流れてきます。すると、自分の暮らしだけが物足りなく感じてしまうこともあるでしょう。
でも、人には見えない部分があります。
その暮らしを維持するために、どれだけ働いているのか。何を我慢しているのか。実際に満足しているのか。それは外からでは分かりません。
見えている一部分だけを自分の生活と比べても、自分の「ちょうどいい」は見つからないと思います。
「常識」よりも、まず自分で考える
「常識は思考停止、良識は押し付け」これは伊沢正名さんという写真家の言葉ですが、尖った言葉ではあるが確信をついていると思います。その常識ってほんと?という視点も大切だと思います。
もちろん、すべての常識を否定したいわけではありません。
ただ、「普通だから」「みんながそうしているから」と、自分で考えることをやめてしまうのは少し怖い。
その暮らしは本当に自分に必要なのか。自分は本当にそれを欲しいと思っているのか。一度立ち止まって考えてみる。
他人の正解をそのまま借りるのではなく、自分で選ぶ。その積み重ねが、自分にとっての身の丈を見つけることにつながるのだと思います。
身の丈暮らしを始めるには?まず「無理しているもの」を見直そう

自分にとっての身の丈を考えても、「では、具体的に何から変えればいいの?」と思うかもしれません。
そんな時は、いきなり生活を大きく変えたり、我慢を増やしたりする必要はないと思います。
まずは今の暮らしの中にある、自分が無理をして続けているものを見つけることから始めてみましょう。
まずは、今の暮らしで無理をしていることを書き出す
毎月払っているもの、何となく続けている習慣、周りに合わせるための出費。
「本当はなくても困らないのに」と思いながら続けているものがあるかもしれません。
お金だけではありません。その暮らしを維持するために、必要以上に働いていないか。休みたいのに休めなくなっていないか。
まずは、「何を減らすか」を決める前に、自分がどこで無理をしているのかを知ることが大切です。
身の丈に合った暮らしかチェックしてみる
自分にとっての「身の丈」が分からない時は、まず今の暮らしを振り返ってみましょう。次の項目にいくつ当てはまるか、チェックしてみてください。
☐ 今の生活を維持するために、無理をして働いている
☐ 毎月の支払いを済ませると、お金にほとんど余裕が残らない
☐ 休みの日まで仕事や家事に追われ、ゆっくりする時間がない
☐ 以前はできていたことが、体力的・気力的に負担になってきた
☐ 「みんなが持っているから」という理由で買っているものがある
☐ SNSなどで他人の暮らしを見て、自分の生活が物足りなく感じることがある
☐ 本当は必要ないと思いながら、なんとなく続けている支出がある
☐ 自分が本当に大切にしたいことに、お金や時間を使えていない
いくつ当てはまりましたか?
書き出し見直すことで、自分がどこで無理をしているのかに気づくことができるようになります。
お金だけでなく、時間や体力、気力まで含めて今の暮らしを見直してみる。そこから、自分にとっての「ちょうどいい暮らし」が少しずつ見えてくるはずです。
固定費を見直して、暮らしに余白を作る

もし毎月の支払いが生活を苦しくしているなら、固定費を一度見直してみるのもひとつの方法です。
住居費や車、通信費、保険、使っていないサブスクなど、毎月当たり前のように払っているものを確認してみましょう。
もちろん、すべてを安くすればいいわけではありません。
大切なのは、その支払いが今の自分にとって本当に必要かどうかです。
少しでも余白ができれば、急な出費に慌てずにすんだり、本当に大切なことにお金を使えたりするようになります。
見栄や「なんとなく続けている出費」を手放す

人からどう見られるかを気にして買ったものや、「みんな持っているから」と続けている出費もあるかもしれません。
もし自分が本当に欲しいものなら、手放す必要はありません。
ただ、自分の気持ちより周りの目を優先しているだけなら、一度立ち止まって考えてみてもいいでしょう。
自分が大切にしたいものには、ちゃんと使う
身の丈に合った暮らしは、ただ支出を減らすことではありません。
不要なものを見直してできた余白を、趣味や家族との時間、自分が心地いいと思えることに使う。
減らすことが目的ではなく、自分にとって大切なものを残すこと。
そんなふうに少しずつ暮らしを整えていけば、自分にとっての「ちょうどいい」も、きっと見えてくるのだと思います。
まとめ|身の丈とは「小さく生きること」ではなく、自分に合う大きさを知ること
身の丈は、収入だけで決まるものではありません。お金だけでなく、時間や体力、そして自分が何を大切にして暮らしたいのか。そのバランスを考えた時に、自分にとっての「ちょうどいい」が見えてくるのだと思います。
周りと比べて「もっと」と思うのではなく、自分にとって何があれば十分なのかを考えてみる。そして、無理をして続けているものを少しずつ見直し、本当に大切なものを残していく。
身の丈に合った暮らしとは、人生を小さくすることではなく、自分に合わない無理を手放すこと。
すべてを手に入れなくても、自分が大切にしたいものを選べるなら、それはきっと、自分にとって十分に豊かな暮らしなのだと思います。




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